2014,02,06, Thursday
木造住宅の構造
耐力壁3のつづきです。
周知思いますが
木造2階建て住宅の場合(俗に言う4号建物)
確認申請では、要求される図面の地域性がありますが
建築士の設計したものは、構造に関しては特例扱いになり審査対象となりません。
(建築士の資格能力がある?という事らしい)
基準法では、安全を確かめることを基本にしていますが
4号建物に関しては、建築士の考え方次第で
① 基準法仕様規定に従ったから安全を確かめた。
(現在の多様化されたプランでは、ほぼ不可能と思いますが)
② 品確法に従い安全を確かめた。
③ 構造計算により安全を確かめた。
①~③ どの方法も法に準拠し 確認申請の法の上では同等扱いとなっています。
(世の中、善人だけではないので 審査がない=安全を確かめる必要が無い
と解釈される建築士さんもいたり
無資格=自称一級建築士の方もいたり
建築士の資格能力もピンキリで 資格所持自体大したことないかも?)
何も知らない建て主側からしてみればブラックボックスのようなもので
確認申請取得=構造的審査をクリアしていると思われても止むを得ない制度と
感じることも・・・
そこで
四号特例を廃止しろという話ではなくて
(個人的には、廃止した方が良いと思っていますが・・・)
仕様規定の基準壁量の問題点のことを少し・・・
建築の構造計算は、経験値に基づく想定された外力に対し
経験値を加味し想定された内力が上回るから安全になるだろう
という言葉で表現すると単純な作業をしています。
基準壁量も想定された外力があり、
基準壁量により想定する内力が上回るから安全となるだろう を踏襲しています。
ここで何が問題になるかというと
基準壁量は、想定を前提とし成り立ち
想定から外れたものに適用すると危険側になってしまうという事です。
(この事は、N値計算も同様と考えます。)
想定は一般住宅をモデルプランとしているらしいので
他の用途には適用できない、若しくは割増しが必要な事は推察可能ですが
モデルプランの一般住宅とはどの様なものを想定し
どの様なプランとなると危険側になるのか が不透明と感じています。
単純に割増せば良いで済めばよいのですが
(どの位割増すかも含め)
検討事項の少ない基準法の仕様規定では危険側になるケースも否めません。
基本は、何が安全側になり何が危険側になるかの判断が大切ですが
仕様規定は、その判断を霧にまいてしまう面もあると感じています。
(想定モデルを元にした基準壁量の導き方は、どこかの書籍に書いて
あったのですが・・・・記憶が薄い
仕様規定は法の上で満足しなければならないことですが
当方、最低限と認識しているからですかね)
では、
どの様な設計の住宅が良いか?
先に書いたものでは
① < ② < ③(①より② ②より③の方が安全側の検討の仕方)
の図式になるので
③の構造計算したものとなるのですが
計算対象となる架構の組み方は、設計者次第
何でも有りで その架構の安全面での基本は計算の上では判りません。
(安全面での基本=計算以前に危ないかどうか)
品確法の検討も含め構造計算は、
手計算では手間がかかる為、ソフトに入力し その結果で判断するが一般的な流れです。
ソフトの入力は、少し学べば建築構造を知らない方でも入力可能ですし
こんな架構有り? でもソフトの上ではエラーを回避しOKとする事が可能です。
(こうなるとエラー消しゲーム?)
構造計算とは、机上で想定された外力に対し想定された内力が上回ったという
計算結果を出力しているだけなので
入力以前の木造の特性や構造計算の基本の認識の違いにより
計算結果の持つ安全性の差を霧にまいてしまうことが欠点といえば欠点です。
先に書いた架構の組み方には ある程度の規則性はありますが
組み方に正解があるようで
1(正解の組み方)/∞(無数の組み方)= 0(存在しないに等しい)です。
(人生いろいろではないですが 組み方いろいろ 人それぞれ)
ただ木造架構の場合、
1<2は存在し、
(数式では、1は2より小さいですが
1のケースよりも2のケースの方が安全側という意味で)
例え2のケースが不可なっても 1+1>1 というケースが必ずあるものです。
その積み重ねの繰り返しが大切と思われ
平面計画の変更まで含めないとより良い架構を選択とすることは難しいと考えます。
以前から綴っていますが
架構は、平面計画の段階でほぼ決定されるので
安全面での基本は平面計画の段階で左右されます。
(大手メーカー・小さな工務店に関わらず)
故に平面計画段階での構造的見地の計画は大切な作業なのです。
良い架構計画(平面計画)が出来、構造計算 そしてその通りの施工で完成
の流れが出来て
始めて構造計算の有効性が生かされるので
設計と施工 監理と管理で ひとつも欠けることの無い流れが
安全性の高い住宅を手に入れる手段かもしれません。
最近、ウェブ上で見つけたもので
『1.01の法則』
1.01^365 = 37.8 (1.01の365乗)
こつこつ努力すれば、やがて大きな力となります。
『0.99の法則』
0.99^365 = 0.03 (0.99の365乗)
逆に、少しずつさぼれば、やがて力がなくなります。
というものがありました。
この感覚は、木造の構造を考える上で何か共感を得てしました。
木造の許容応力度計算は、大きな流れの計算方法を示したものと感じ
細部をどの様に考察したら良いかは
構造設計者に委ねられている部分が多いと感じています。(当然ですが)
又、構造計算は、想定を前提とし
(木造に関しては、経験値の少ない構造理論ではないかと・・・)
前提から外れた場合どの様になるかは、当方のような意匠屋には判りません。
そこで少しずつ設計の上では安全側に
『1.01の法則』
施工では、完璧はまず無いので
『0.99の法則』
365を半分ずつに
1.01^182.5×0.99^182.5 = 0.98 ≒ 1.0
構造は、コストとのバランスを重視するので
如何に細く、小さくするか が構造設計者の能力と言われる事もありますが
木造住宅に関しては、いささかさじ加減の感覚が違うと感じています。
例え話で
先の『1.01の法則』での設計は、
簡略化すれば木材の材積が増す が主要因となるので
コストが上がる事に繋がります。
それ以前に設計料も発生しているので コストは1.1倍
(工事費を1.0とすると設計料は10%内外が一般的と・・)
木造住宅の工事費の中で木材の占める割合は、10~20%なので20%とし
材積の増分を20%とすると
(105×105を105×120にする感覚ですが、
木造住宅での2割増はかなり増の数字と思う)
工事費は、1.04倍(1+0.2×0.2=1.04)
工事費の中の手間は、材積だけなので増減無しとします。
トータルで1.14倍となりますが
実際に住宅を建てる上で設計料がない事は、あり得ないので
(目に見えないように 又は、安価とする工夫は、設計施工者の常道
本来の設計図を知る建て主は、ほぼ皆無
施工者側からの提示図面が 設計図となっています。)
1.14-1.04×2%=1.11 → 1.1倍程がコストアップということにして・・・。
結論
『1.01の法則』の設計と『0.99の法則』の施工
1.01^182.5×0.99^182.5 ≒ 1.0
を手に入れる為に コストが1割程増となります。
これが高いか安いかは、建て主側の価値観によりますが
『1.01の法則』も『0.99の法則』も、
建て主には見えない世界です。
直面する総金額だけが比較対象で大丈夫ですか?
と問題提起で・・・・・。
『1.01の法則』と『0.99の法則』
無茶苦茶なこじつけですが
この感覚が全くないと否定できない 当方がいます。
| 建事一考 | 08:45 PM | comments (0) | trackback (0) |
コメント
コメントする
トラックバックURL
http://www.arc-kei.com/blog/tb.php?141